私流のセッティング評価方法の1つの例です。 | スーパーオーリンズ&BPSダンパー・製作&メンテナンス業務

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さて、ニュートラル評価走行ですが、なぜ、そんなことを思い付いたのか?というお話です。

まず、この評価方法を思い付く前の話です。
ダートラ(ダート走行)を楽しんでいた頃に、かなりのハイスピードコースで路面がパンパンに締まっている場所がありました。ドライでは強烈に食いますが、ウェットでは、もうお話にならないくらい滑りました。所謂赤土路面ですね。
ブレーキを踏めば真っ直ぐ行ってしまい、アクセルで強引に向きを変えようとすれば超スローな独楽のように回ってしまいます。
で、色々と試した結果、クラッチを切った状態でステアリングを切るのが、最もスムーズに曲がることが分かりました。
で、曲がり出したら所謂バランススロットルで極力ステアリングを切らずに旋回を持続する練習を重ねました。
その後の洗車は大変でしたが。(笑)
でも、舗装(ジムカーナ)では浅間台スポーツランドくらいしか、このクラッチ切り走法は使わなかったですね。

で、ここで一旦この話は横に置いときます。
私が初めてオーリンズの評価を依頼された時に、まずはキョウセイドライバーランドで4輪用のピストン&バルブの評価をしました。
当初からワンウェイバルブを採用することが決定していたようですが、当時はスプリング交換がNGな時代だったので(まずはジムカーナ用から評価を開始したので)、圧側(バンプ)のワンウェイの方が効果が大きいのでは?ということで、ワンウェイバルブを圧側にセットして評価しました。
最初の評価だったので、減衰MAXと7段と20段で評価した記憶があります。

当然、オーリンズの技術屋さんは、シークレット評価(私にナイショでワンウェイバルブを変えてきます)もやります。
で、7段で最初走って他の段数を試す前に、「あれ?今回は圧側ワンウェイのはずだけど、これって伸び側ワンウェイですよね?」と私が言うと、オーリンズの技術屋さんがニコニコしながら「2輪のライダーは段数を変えないとこの違いが分からなかったけど、ミスターカワムラはなぜ分かるの?」と英語で言われました。もちろん私は英語が分からないので、通訳さんがそういう意味を伝えてくれました。(実はちょっと内容は違っていたかも?)
その理由は、ワンウェイバルブの構造にありました(当然その時は知りませんでしたが)。

ワンウェイバルブはニードルバルブに流れるオリフィスを小さなボールで塞ぐ構造になっていて、そのボールを小さなコイルスプリングが押さえています。圧側ワンウェイの時はピストンロッドの先端に、伸び側ワンウェイの時はニードルバルブ側にセットされる構造です。
で、この小さなコイルスプリングによって押さえられているボールにかかるプリロードが初期のレスポンスに影響を与えます。(スプリングが強ければレスポンスが上がり、低ければレスポンスが下がります)
スプリングの力はなるべく弱い方が、ダンパーの動き的にはスムーズな動きになりますが、ノーマルスプリングとのセットでは、圧側のレスポンスの良さはドライビングに良い影響が出ることが確認できたので、作動に邪魔にならない範囲の強さで圧側ワンウェイでいくことが決まりました。(その後、この小さなスプリングのへたりが動きに影響することが判明しました)

と、ここで横に置いといたクラッチ切り走法が出てきます。
この時の評価コースは前年(1989年)に行われた全日本ジムカーナのコースでした。 1コーナーを抜けて現在のシェルコーナーを大きく回る時の頂点のコーナーでクラッチを切った状態でダンパーの動きだけに注目して走りました。
この時に結構Gがかかるので(タイヤはSタイヤ)クラッチを切っていると身体の軸がほんのちょっとずれるのです。
これが気持ち悪くて、手前でニュートラルに入れてみました。
そうすると良い感じで集中できたのです。

これは最初からこのコーナーでクラッチ切りを試すと決めていたので、最初の数周でニュートラル走行を思い付きました。
この後、オーリンズの評価をする際は、必ずどこか1~2か所はニュートラル走法を試すことにしています。

そして、このニュートラル走法が最も活躍したのが、PCVバルブとDFVバルブの評価でした。
サブバルブは薄いバルブシムで構成されているので、どうしてもへたりが早くなります。
その過程でどのバルブシムのへたりがダンパーストロークスピードにどのように影響が出ているのか?を評価する際に、非常に役に立つのです。
ロードスター(写真)で行ったオーリンズのアクティブダンパーの開発評価にも凄く役立ちました!
ちなみに、各所ブッシュ類のへたりや、どこかの不具合等の発見にも役立ちますよ。

というわけで、こんな経験からニュートラル評価走法を思い付きました。
コロナの脅威が過ぎ去って、サーキットに爆音?が戻って来た時に、あちらこちらのコーナーでエンジン音がまったくしないクルマがいっぱい走っていたりしてね♪(^O^)/

※そうそうニュートラル走法を試す際に、ギアを入れてクラッチをつなぐ時には、エンジン回転を上げてつないでくださいね。アイドリング状態でつなぐと結構衝撃が来る場合がありますから。

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